2014年1月22日水曜日

山口市、空き店舗でカフェ


山口市の中心商店街で、カフェが増えている。商店街側の出店誘致に、若い層がカフェの開設で応じたケースが多い。カフェで読書などを楽しむ「カフェ文化」が根付くかどうかが、今後の課題だ。

 商店街の振興策にあたる株式会社「街づくり山口」などによると、山口市の七つの中心商店街(大市、中市、米屋町、道場門前、西門前、駅通り、新町)では、この2年間で8軒のカフェが新しくオープン。これで計23店になった。

 新規店の経営者は30代が多い。昨年10月、道場門前商店街に「カフェコラソン」をオープンした田辺尚也さん(38)は、以前から自分の店を出すのが夢だった。「広告はほとんどしていないが、お客さんは入っている」。9割が女性客で、ランチの利用も多いという。

 道場門前の「エクラ・モーネ」は2012年7月に開店。オーナーの下瀬美和さん(39)は、商店街側から出店を誘われ、防府市でも経営していたカフェを出すことを決めた。「以前から商店街周辺は洋服店なども多く、おしゃれなイメージがあった」と話す。

 7商店街は空き店舗への誘致に積極的に取り組んできた。市中心市街地活性化協議会で空き店舗対策を推進する有田實さん(61)は、昨年1年間で飲食店の出店希望者約20人と面談した。結果としてカフェの開店が多い理由について「飲食店の中でも、比較的資金や人数が少なくても開店できるからでは」と見る。

 空き店舗への新規出店に対する山口市の補助金制度も後押しした。以前は家賃補助だったが、12年からは120万円を上限に改装費の2分の1を支給している。そうした結果、7商店街の空き店舗の比率は、10年の19・6%が昨年11月末には13・6%にまで減った。

 今後の課題はカフェ文化が定着できるかどうかだ。街づくり山口の宮野孝夫さん(27)は「山口では飲食目的の客が多く、時間をゆったり過ごすために利用するという感覚があまりない」。有田さんは「商店街での滞在時間を延ばすという意味でカフェは非常に重要」と指摘している。

2014年1月10日金曜日

和歌山県 移動美容室


  美容室に出かけることが難しいお年寄りや身体が不自由な人たちのため、串本町にIターンした美容師の男性が「移動美容室」を昨年12月から始めた。シャンプー台を取り付けるなど改造したワゴン車で訪問し、車内でカットやパーマなどが受けられる仕組み。過疎高齢化が進む地域の実態に触れ、思い立った。

 美容師の男性は串本町西向の濱地歩さん(44)。濱地さんの父は串本町古座の出身、母は古座川町出身で、濱地さんも旧古座町の病院でうまれた。両親が暮らす京都府長岡京市で育ち美容師となった。長岡京市、その後は大阪市鶴見区で自分の美容院を開き約20年間にわたって経営してきたという。

 「生まれ故郷のことが頭の片隅にあった」と話す濱地さん。「高齢などの理由で美容院に出かけることが難しいお年寄りらのために、何とかしたいとの思いが募った」と話す。店は一緒に働いていたスタッフに譲り、昨年8月に串本町にIターンをした。

 串本町や近隣の町は高齢化が進むなかで、美容院に行くのが難しい住民も多いことを知った濱地さんは、「それなら、こちらから出向こう」と考えたと話す。

 「移動美容室」は中古のワゴン車を約700万円かけて改造。鏡、イス、シャンプー台をはじめ、車いすのリフトなども取り付けた。料金はカット(ブロー込み)3250円▽シャンプー740円▽パーマ(カット込み)6300円~など。男性も利用できる。出張する地域は主に串本と古座川の両町で、出張費用は串本町古座や同町串本、古座川町池野山、同町月野瀬などは無料だが、そのほかの地域は500~2500円かかる。3人以上で利用すれば出張費が無料となる地域もある。

 これまでに、老人ホームなどで約50人にカットやパーマをした。お年寄りからは「ありがとう、さっぱりした。美容院まで出向かなくていい」などと喜ぶ声が寄せられているという。

 濱地さんは「美容院に行きたくても、行けない人が多いと聞き、こちらから出向いて行けば良いと考えた。それが社会貢献にもなると思う」と話している。