2014年1月10日金曜日

和歌山県 移動美容室


  美容室に出かけることが難しいお年寄りや身体が不自由な人たちのため、串本町にIターンした美容師の男性が「移動美容室」を昨年12月から始めた。シャンプー台を取り付けるなど改造したワゴン車で訪問し、車内でカットやパーマなどが受けられる仕組み。過疎高齢化が進む地域の実態に触れ、思い立った。

 美容師の男性は串本町西向の濱地歩さん(44)。濱地さんの父は串本町古座の出身、母は古座川町出身で、濱地さんも旧古座町の病院でうまれた。両親が暮らす京都府長岡京市で育ち美容師となった。長岡京市、その後は大阪市鶴見区で自分の美容院を開き約20年間にわたって経営してきたという。

 「生まれ故郷のことが頭の片隅にあった」と話す濱地さん。「高齢などの理由で美容院に出かけることが難しいお年寄りらのために、何とかしたいとの思いが募った」と話す。店は一緒に働いていたスタッフに譲り、昨年8月に串本町にIターンをした。

 串本町や近隣の町は高齢化が進むなかで、美容院に行くのが難しい住民も多いことを知った濱地さんは、「それなら、こちらから出向こう」と考えたと話す。

 「移動美容室」は中古のワゴン車を約700万円かけて改造。鏡、イス、シャンプー台をはじめ、車いすのリフトなども取り付けた。料金はカット(ブロー込み)3250円▽シャンプー740円▽パーマ(カット込み)6300円~など。男性も利用できる。出張する地域は主に串本と古座川の両町で、出張費用は串本町古座や同町串本、古座川町池野山、同町月野瀬などは無料だが、そのほかの地域は500~2500円かかる。3人以上で利用すれば出張費が無料となる地域もある。

 これまでに、老人ホームなどで約50人にカットやパーマをした。お年寄りからは「ありがとう、さっぱりした。美容院まで出向かなくていい」などと喜ぶ声が寄せられているという。

 濱地さんは「美容院に行きたくても、行けない人が多いと聞き、こちらから出向いて行けば良いと考えた。それが社会貢献にもなると思う」と話している。