2013年1月31日木曜日

長崎市・無料学習塾


経済的に恵まれなかったり、不登校だったりする子どもたちに安心して勉強してもらえる場を提供しようと、小中学生を対象にした無料の学習塾が週1回、長崎市で開かれている。現在は15人ほどが参加し、大学生らが1対1で指導している。

 主催しているのは、不登校の子どもたちが集う同市曙町のフリースクール「ドリーム・カム・ホーム」。ホーム長の川井健蔵さん(65)は、2004年に開いたフリースクールを続けるなかで、親の経済力が子どもの学力や進路に大きく影響している問題を実感し、これを解決したいと無料塾開催を思いついた。 

 塾は月謝をはじめ教材、文房具もすべて無料で、講師もボランティア。小学生は国語と算数、中学生は英語と数学を学んでいる。将来は高校生も対象にしたいという。 

 現在は大学の掲示板で募集した長崎大の医学部生や教育学を専攻する大学院生らが指導にあたっている。個別指導のため塾生の増加に伴って指導者も増やさなければならない。教材も含めて無料を続けるため、指導者や運営のボランティア、寄付を募っている。 

 川井さんは「就職でも進学でも、夢をかなえるために高校卒業資格が求められることが多いので、子どもたちには勉強してほしい。ここから巣立った子どもが戻ってきて、教えるようになってほしい」と話す。 

 ドリーム・カム・ホームは旧多良見町(現・諫早市)で設立され、10年12月に現在地の長崎市曙町の幼稚園跡に移った。現在は通学生のほか、男子2人、女子1人が寮生活を送っている。 

 無料塾は土曜日の午後1~4時、長崎市出島町の出島交流会館で。現在募集しているのは中学生のみ。問い合わせはホーム(095・861・3400)へ。

    2013年1月30日水曜日

    栃木・屋根貸し拡がる


    小学校や体育館など公共施設の屋根を貸し出して、事業者が太陽光発電する「屋根貸し事業」に、県や足利市、栃木市などの自治体が相次いで参入している。日照時間が長い県内は好条件で、「貴重な自主財源になる」と期待がかかる。収入で一般家庭での太陽光発電機器の設置に補助をするところもあり、再生可能エネルギーの普及にもはずみがつきそうだ。

     昨年7月、国が認定した再生可能エネルギーによる電力を、電力会社が全量を固定価格で買い取る制度が施行され、広々とした公共施設の屋根が注目された。また、栃木県は、発電効率が良い冬場の日照時間が全国3位と条件が良く、これまでに5自治体が着手。鹿沼市も準備中と、「全国的にも進んでいる」(県地球温暖化対策課)。 

     貸し出す施設は、新耐震基準を満たす小中学校(栃木市)や、生涯学習センター(足利市)、候補地の段階だが「道の駅思川」(小山市)など。4月からは買い取り価格が下がるとの見通しもあり、年度末までにまず活用しやすい施設を選んだ。この結果、足利市では一部で工事が始まり、3月末までに発電が始まる。ほかも6月や、夏休み明けから「地元産エネルギー」が作られる見込みだ。 

     年間の貸出料は、足利市の570万円を最高に県180万円、栃木市151万円など。20年間の契約で、貴重な自主財源になる。地元の法人を貸し出し対象にしており、固定資産税や法人税も見込める。 

     収入を、再生可能エネルギーの普及に充てるところが多い。足利市は一般家庭で電力使用量をチェックできるメーター設置を補助して、「見える化」による節電につなげる。佐野市は、家庭で太陽光発電機器を設置する補助に充てる。栃木市も、再生エネ普及の基金として積み立てる。 

     このほか、どの自治体も、災害時などには公共施設に電力を供給するよう求めたり、義務づけたりしており、停電時などの電源確保に役立てる。「地元での発電を、環境学習に役立てよう」との発想も共通だ。県の施設では「発電の見学スペースを設け、電力をモニターできるようにしたい」とし、栃木市も小中学校の授業に組み入れる。

    2013年1月29日火曜日

    地域を歩いて気づいたことを地図にまとめる・高知四万十町


      防災をテーマに地域を歩いて気づいたことを地図にまとめる「第9回小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」(日本損害保険協会、朝日新聞社など主催)で、四万十町興津の町立興津小学校が審査員特別賞を受賞した。南海トラフ地震で、同小周辺は5~20メートルの津波浸水が想定されている。「地域の一員として、この地域を救いたいという気持ちが作品に反映されている」と評価された。

     コンクールには全国417の小学校・団体から2018点の作品が寄せられた。同小の5、6年生14人が、興津を郷分(ごうぶん)、浦分(うらぶん)、小室の3地区に分けたマップを作成した。そのうち海に近い浦分地区のマップが受賞。2009年以来3年ぶり4度目の入選となった。小学校がある郷分地区を描いたマップも佳作に選ばれた。 

     興津を3地区に分けたのは、「少しでも詳しい(マップの)方が人を救える」という児童らのアイデアから。総合的な学習の時間を利用して昨年5月から取り組み、当初はあわせて1枚にする予定だったが、それぞれの地区を担当するチームごとに独自の意見がわきだし、タイプの違う3点の作品になったという。 

     受賞した浦分地区のマップは縦約110センチ、横約80センチの模造紙に描かれ、タイトルは「地域をすくう防災マップ」。チーム名「興空(おきぞら)」の児童5人が漁港周辺を中心に最も海から離れた民家まで歩き、「道より低い所に家があったので、津波が来たらあぶない」「地しんのときに、かわらがおちてきそう」「ブロックベイ(塀)にひびがはいっているので、地しんが来たら、くずれてきそう」など、気づいたことを写真とともに書きだした。 

     また実際に避難場所までの避難時間を地点ごとに示し、「歩いてるのと走って逃げるのとでは、約1分30秒の時間差がありました。お年よりではもっと時間がかかります」とまとめた。 

     児童らは「普段は自転車で通る道をゆっくり歩くと、あぶないところがあることに気づいた。地図に収まりきらないので、調節するのが大変だった」と話していた。


    2013年1月25日金曜日

    双葉町長メッセージ


    双葉町は永遠に

     私たちは前例の無い避難という過酷な状況に置かれています。いつまでも海原を漂流するわけにはいきません。早く上陸地を国が準備して、再興できる日を求めてきました。しかし、時間が足りませんでした。
     放射能のないところで平和な、皆が集える町ができることを祈り町民の安寧を願って、私は本日、双葉町長の辞職申し出をしました。
     私の今までの取り組みから次のことを申し上げたいと存じます。



    1 事故に負けない
     原発事故で負けるということは、今のまま、何もしないことである。
     双葉町民には負けてほしくない。勝ってそれぞれ生き抜いてもらいたい。今はそれぞれの地に離れて住もうとも、廃炉が完了して故郷から放射能の危険が去り、自然と共生出来るようになったら再結集しよう。
     我が子どもたちへ、この悔しさを忘れることなく、何としても生き抜いて何倍も幸せな双葉町を再建していただきたい。そのためにも負けないで学び、求められる人になれ。世界の雄になってもらいたい。
    (1) 負けないということは以下のことを忘れないこと
    ①避難してくださいと国から頼まれたこと。
    ②東電と国は事故を絶対起こさないと言っていたこと。
    ③町と県と東電には安全協定があること。
    ④事故は我々が起こしたものではないこと。
    ⑤正式な謝罪と見舞いがないこと。(形のあるものではないこと)
    ⑥自分の権利は自分以外に行使できないこと。
    ⑦被ばくさせられたこと。
    ⑧放射能の片付けをさせられること。
    ⑨20msv/yで町へ帰ること。(一般公衆の限度は1msv/y以下)
    (2) 勝つためには何をしなければならないか
    ①事故の原因者を確定すること。
    ②我々の受けた損害のメニュー作成すること。
    ③損害の積算をすること。
    ④回復の請求をすること。
    ⑤回復の限界と代替を請求すること。(仮の町、借りの町)
    ⑥立証責任の不存在を共有すること。
    ⑦気づくこと。
    ⑧水俣の住民の苦難を学ぶこと。
    ⑨広島・長崎の住民の方に聞くこと。
    ⑩避難先の皆さんの恩を忘れないこと。
    ⑪多くの町民が健全な遺伝子を保つこと。
    ⑫ウクライナの現実を確認して同じテツを踏まないこと。
    (3) 町民の力を結集すること
    ①役割分担をすること。
     ・汚染調査 ・除染問題 ・賠償問題
     ・住居問題 ・職場問題 ・健康問題
     ・墓地問題 ・学校問題 ・中間貯蔵施設問題
     などの調査研究する組織をつくり町民の不利益を解消すること。
    ②事故調査委員会をつくること
     事故の報告書には避難を強制された住民の実態が語られていない。外部に任せていたらいい加減に処理されてしまうので、委員会を町独自に構成して正しい記録を残さなければならない。

    2 主張する権利を行使する
    ①見守り隊の組織
    ②法律家の組織
    ③文書学事の組織
    ④ボランティア活動組織
    ⑤被ばく被害者団体の組織
    などを組織して国民の主権と被害者の復権を勝ち取らなければならない。

    3 この世には先人の教えがある
    (1) 温故知新
     歴史から新しい発想が出てくる。自分が直面している問題について語られています。遠くは私たちの祖先である標葉藩が相馬に滅ぼされたこと、会津藩が長州に負けたこと。しかし、負けても滅びる事もなく私たちは生きてきました。先人達に感謝し、これからは私たちが町の存続を引き継ぎ後世に繋がなければなりません。今度の事故は前例がありません。今は子どもたちを放射能の影響によるDNAの損傷を避けて暮らし、幾多の困難に負けずに 双葉町の再興に向かって、生き延びましょう。
    (2) 人生に五計あり
     中国、宋時代の朱新仲が教訓として伝えた人生の処世訓とされるものです。生計、身計、家計、老計、終計があり、生き抜く考えが記されています。
    (3) 八正道と言う道
     昔、釈迦がインドで行われていた求道について、新しい道があることを説いたとされています。


    正見  : 正しい物の見方
    正思惟 : 正しい思考
    正語  : 偽りのない言葉
    正業  : 正しい行為
    正命  : 正しい職業
    正精進 : 正しい努力
    正念  : 正しい集中力
    正定  : 正しい精神統一


     今の私たちにはこのような精神にはなれません。この言葉は東電と国あるいはこの事故を被害者の人権を無視して矮小化しようとしている勢力に猛省を促す言葉として捉えてほしい。願わくば、双葉町の子どもたちに人生の教訓の一部として、心に刻んでほしい。

     この事故で学んだことは多い。我国でも人命軽視をするのだと言うことがわかった。国は避難指示と言う宣戦布告を私たちに出した。武器も、手段も、権限もない我々はどうして戦えるだろうか。

     白河市にアウシュヴィッツ博物館がある。ナチスがユダヤ人を毒ガスで虐殺したことは衆目の事実だ。福島県内では放射能という毒で県民のDNAを痛めつけている。後先が逆だ。この状態から一刻も早く避難をさせること以外に、健康の保証は無い。その後に十分時間をかけて除染をやれば良い。
     人工放射能に安全の基準を言う実績が少ない。20msv/yで住めると言う人が家族と一緒に住んで示すことが先だろう。その安全が確認出来たら福島県民は戻ればいい。これ以上モルモットにするのは、外国の暴君が国民にミサイルを撃つのと変わり無い。
     福島の復興なくして日本の再生はないとは、人口減少の今、将来の担い手を痛めつけていては、真に福島の復興には繋がらないと心配している県民は少なくないと思う。双葉町は原発を誘致して町に住めなくされた。原発関連の交付金で造った物はすべて町に置いてきました。

     原発の誘致は町だけで出来ない、県が大きく関わってはじめて可能となる。私たちは全国の人たちから、「お前たちが原発を誘致しておいて被害者面するな」という批判を受けている。私たちはどこにいても本当の居場所がない今、苦悩に負けそうになりながら必死に生きている。子どもたち、高齢者、家計を支えなければならないお父さん、お母さんたちの悲鳴を最初に菅総理に訴えた。変わらなかった。そのために私は野田総理に国民としての待遇を訴えたのです。しかし、今の町民の皆さんは限界を超えています。何とか国には町民の窮状を訴え、町民には叱られ役をやり、マスコミに出されるようにしてきました。

     県にも窮状を訴えています。最近も質問をしました。回答は具体的な内容ではなく失望しました。知事は福島の復興のために双葉町に中間貯蔵施設を造れと言うので、双葉町の復興はどうするのですか、と聞くと答えてくれません。そこで、踏み込んで私に町をくださいと言いましたがやはり答えませんでした。これでは話し合いになりません。

     環境省の局長にどうして双葉に二つの場所を決めたのですかと聞いたら、分かりませんと言いました。では会議録をみせてくださいと聞いたら、後日ありませんと言う返事でした。このようなことで、調査だけで建設はしないからと言われて、ハイいいですよとは言えません。
     町には古くから先人が築いてきた歴史や資産があります。歴史を理解していない人に中間貯蔵施設を造れとは言われたくありません。町民の皆さんが十分議論した後に方向を決めていただきたい。若い人に決めてもらうようにしてほしい。

     今まで支えていただきました町民の皆様、双葉地方各町村をはじめ福島県内各市町村の皆様、国及び福島県そして事故発生時から避難救済にご支援いただきました国民の皆様、国会議員の皆様、全国の自治体の皆様、埼玉県と埼玉県議会の皆様、県民の皆様、加須市と加須市議会の皆様、市民の皆様、さくら市の皆様、医療界の皆様、福祉関係の皆様、貴重な情報の提供された方、最後に国内並びに世界中からボランティアのご支援をいただきました皆様、この避難を契機にご支援いただきました多くの皆様に支えられて、ここまで来ることができました。心から感謝を申し上げまして、退任のご挨拶に代えさせていただきます。
     長い間誠にありがとうございました。


     平成25年1月23日

    双葉町長 井戸川 克隆

    2013年1月24日木曜日

    佐賀県武雄市、職員給与の税収連動を検討


    佐賀県武雄市は23日、職員給与の一部を税収に連動して増減させる制度を2014年度にも導入することを検討していると明らかにした。初年度は基本給の50%の部分に税収の増減を反映させる方針。給与決定の透明性を高め、市民の理解を得やすくするのが狙いだ。

     これまでは他の大半の市町村と同様、人事院勧告や県人事委員会の勧告に準拠して基本給を決めていた。武雄市職員の基本給は現在、職務内容に応じて7等級に職員を分類。その上で、号俸ごとに賃金を定めた俸給表に従い決定している。

     新制度では毎年実施する俸給表の改定に、人事院や県人事委の勧告だけでなく、税収も反映させる。

     樋渡啓祐市長は「国家公務員に準じて職員給与が決まるのはいかがなものか。納税者である市民の所得と連動した形にしたい」と説明。一方で「人件費の削減が目的ではない」とした。

    2013年1月23日水曜日

    秋田県知事、退職手当減額


    佐竹敬久知事が退職手当を15%減らす意向を示したことにからんで、県が常勤監査委員と教育長の退職手当も減額する方向で調整していることがわかった。今月末までに減額率を決めて、知事、副知事の減額条例案とともに2月県議会に提出する方針。

     常勤監査委員は知事、副知事と同じ常勤の特別職で、県によると、一般職の教育長も、これまでに知事らが給料や手当を減らす際には同調してきた。退職手当でも同様の措置をとる。 

     現在の退職手当は常勤監査委員(2人)が643万2千円、教育長が1108万8千円。任期は4年間。今回の任期に限った削減にする予定。 

     一方、県は昨年に国家公務員の退職手当を減額する法律が成立したことを受けて、一般職の退職手当も段階的に減らす方向で職員団体と協議に入っている。折り合えば、2月議会に条例改正案を出す方針。 

     県内の厳しい経済雇用情勢を受けて、佐竹知事は21日、現在の任期に限り、退職手当を知事は15%(減額後3455万7600円)、副知事は10%(同1807万9200円)減らす考えを示した。外部有識者の審議会も「妥当」としている。

    2013年1月18日金曜日

    コンビニを防犯拠点・滋賀



    仕事や学校帰りの女性を狙ったわいせつ事件が後を絶たないことから、大津署は、コンビニエンスストアを防犯拠点として活用する「セーフティーステーション事業」を始めた。大津市大萱1丁目の「セブンイレブン瀬田駅前店」をモデル店に指定。防犯グッズを貸し出したり、犯罪情報を伝えたりして、防犯のための有効な手立てを探る。

     県警は昨年5月と9月に県内に「痴漢等多発警報」を発令するなど、女性を狙った犯罪に頭を悩ませている。昨年1月~11月には強制わいせつや痴漢などの性犯罪が301件発生。うち大津署管内は87件と3割近くを占め、前年同期比で15件も増えている。 

     モデル店では、夜間に1人で帰宅する女性向けに、県警から提供を受けた防犯ブザーやライトの貸し出し▽反射材や啓発チラシの配布▽店内の掲示板で犯罪発生状況を情報発信▽店員による「気をつけてお帰り下さい」の声かけ――を中心に始めた。今後、JR駅周辺のコンビニを中心に事業を広げていく。

     県警生活安全企画課によると、被害者の6割以上を10代後半~20代前半の女性が占め、夜間の被害が大半。短いスカートの女性が狙われ、携帯電話で通話中や音楽を聴きながら歩いているときの被害が目立つ。声をかけられ、戸惑ううちに被害に遭うケースもあるという。 

     県警幹部は「(県南部の市街地では)夜遅くまで開いている大型店やチェーン店が進出し、仕事帰りに買い物をする女性も多い。夜間に1人で出歩く機会が増え、そうした女性を狙った犯罪も増える。コンビニを訪れた女性が啓発チラシや犯罪発生情報を見て『気をつけよう』と意識するだけでも防犯効果はある」と期待する。 

     モデル店の久保敏彦店長は「コンビニの店舗数は交番の数より多く、警察と連携すれば防犯に大きく貢献できる。コンビニが女性の安全拠点としての役割を果たせるよう、今後も協力していきたい」と話した。

    ■啓発チラシに書かれた防犯対策

    ・マスクで顔の一部を覆い、表情を見せない

    ・ジャンパーや帽子を着用して高校生に見えない格好をする 

    ・路上で携帯電話などの操作をしない 

    ・普段から早足で歩き、不審だと感じたら小走りする

    ・前後20メートルから不審な人物が来たら走って逃げる 

    ・夜間は連続して電灯がある道を選ぶ 

    ・背後から襲われたら手にかみついたり、大声を出したりする

    2013年1月17日木曜日

    山口祝島 なんでも屋



    上関町祝島に移住してきた若者たちが、「なんでも屋 祝島わっしょい」というグループをつくった。草刈りにごみ捨て、荷物運びなど、頼まれたら何でも1時間700円でやる。島のお年寄りは「ありがたい」と喜んでいる。

     12日、柳井市の柳井港。「わっしょい」の氏本(うじもと)拓さん(37)、堀田圭介さん(47)、児玉誠さん(31)、綿村育良(いくお)さん(30)がたんすや箱をせっせと船に積んでいた。定年で和歌山から祝島に帰ってきた小川利明さん(60)、澄江さん(60)夫婦の荷物だ。島に住む澄江さんの母イサ子さん(84)は「親類だけじゃ足りないし、どうしようかと思うちょった。助かるんですよ」と笑った。

     「わっしょい」のメンバーは20代~50代の12人。ほとんどが2010年以降、島の暮らしにひかれ、県外から移住してきた。

     拓さんは島で豚の放牧を手がける長一さん(62)の長男。北海道で会社員をしていたが、「祝島のほうが住みやすい」と昨年6月に移り住み、主に長一さんの手伝いをしている。

     島はお年寄りが多い。草刈りなど「ちょっとした仕事」をよく頼まれる。やると「多すぎるお礼」を差し出され、もらっていいのか迷うことも。若手と付き合いのないお年寄りはどうしているのかも気になった。

     「気をつかわずに、だれでも気軽に頼めるグループがあれば」

     仲間に声をかけると、みな乗り気に。自治会とも協力しあって11月に立ち上げた。「わっしょい」は、毎週島である反原発デモのかけ声から名づけた。

     チラシを島内に貼り、「お気軽に相談を」と呼びかけた。すでに10件の仕事をこなした。「崩れた石垣をなおして」と頼まれたときは、石積みの技を教えてもらってやりとげた。正味3時間で2100円を請求。依頼主の安田ミヨ子さん(81)は「業者なら何万も取られるのに」と喜んだ。もらったお金の10%を会で積み立て、共同で使うものの購入などにあてる。

     拓さんは「いろんな人と出会えるし、スキルアップできて、お金も入る。頼む方にとっても気軽。改善しながらウィン・ウィン(互恵)の関係を続けていきたい」と話す。