2013年1月30日水曜日

栃木・屋根貸し拡がる


小学校や体育館など公共施設の屋根を貸し出して、事業者が太陽光発電する「屋根貸し事業」に、県や足利市、栃木市などの自治体が相次いで参入している。日照時間が長い県内は好条件で、「貴重な自主財源になる」と期待がかかる。収入で一般家庭での太陽光発電機器の設置に補助をするところもあり、再生可能エネルギーの普及にもはずみがつきそうだ。

 昨年7月、国が認定した再生可能エネルギーによる電力を、電力会社が全量を固定価格で買い取る制度が施行され、広々とした公共施設の屋根が注目された。また、栃木県は、発電効率が良い冬場の日照時間が全国3位と条件が良く、これまでに5自治体が着手。鹿沼市も準備中と、「全国的にも進んでいる」(県地球温暖化対策課)。 

 貸し出す施設は、新耐震基準を満たす小中学校(栃木市)や、生涯学習センター(足利市)、候補地の段階だが「道の駅思川」(小山市)など。4月からは買い取り価格が下がるとの見通しもあり、年度末までにまず活用しやすい施設を選んだ。この結果、足利市では一部で工事が始まり、3月末までに発電が始まる。ほかも6月や、夏休み明けから「地元産エネルギー」が作られる見込みだ。 

 年間の貸出料は、足利市の570万円を最高に県180万円、栃木市151万円など。20年間の契約で、貴重な自主財源になる。地元の法人を貸し出し対象にしており、固定資産税や法人税も見込める。 

 収入を、再生可能エネルギーの普及に充てるところが多い。足利市は一般家庭で電力使用量をチェックできるメーター設置を補助して、「見える化」による節電につなげる。佐野市は、家庭で太陽光発電機器を設置する補助に充てる。栃木市も、再生エネ普及の基金として積み立てる。 

 このほか、どの自治体も、災害時などには公共施設に電力を供給するよう求めたり、義務づけたりしており、停電時などの電源確保に役立てる。「地元での発電を、環境学習に役立てよう」との発想も共通だ。県の施設では「発電の見学スペースを設け、電力をモニターできるようにしたい」とし、栃木市も小中学校の授業に組み入れる。