2013年1月17日木曜日

山口祝島 なんでも屋



上関町祝島に移住してきた若者たちが、「なんでも屋 祝島わっしょい」というグループをつくった。草刈りにごみ捨て、荷物運びなど、頼まれたら何でも1時間700円でやる。島のお年寄りは「ありがたい」と喜んでいる。

 12日、柳井市の柳井港。「わっしょい」の氏本(うじもと)拓さん(37)、堀田圭介さん(47)、児玉誠さん(31)、綿村育良(いくお)さん(30)がたんすや箱をせっせと船に積んでいた。定年で和歌山から祝島に帰ってきた小川利明さん(60)、澄江さん(60)夫婦の荷物だ。島に住む澄江さんの母イサ子さん(84)は「親類だけじゃ足りないし、どうしようかと思うちょった。助かるんですよ」と笑った。

 「わっしょい」のメンバーは20代~50代の12人。ほとんどが2010年以降、島の暮らしにひかれ、県外から移住してきた。

 拓さんは島で豚の放牧を手がける長一さん(62)の長男。北海道で会社員をしていたが、「祝島のほうが住みやすい」と昨年6月に移り住み、主に長一さんの手伝いをしている。

 島はお年寄りが多い。草刈りなど「ちょっとした仕事」をよく頼まれる。やると「多すぎるお礼」を差し出され、もらっていいのか迷うことも。若手と付き合いのないお年寄りはどうしているのかも気になった。

 「気をつかわずに、だれでも気軽に頼めるグループがあれば」

 仲間に声をかけると、みな乗り気に。自治会とも協力しあって11月に立ち上げた。「わっしょい」は、毎週島である反原発デモのかけ声から名づけた。

 チラシを島内に貼り、「お気軽に相談を」と呼びかけた。すでに10件の仕事をこなした。「崩れた石垣をなおして」と頼まれたときは、石積みの技を教えてもらってやりとげた。正味3時間で2100円を請求。依頼主の安田ミヨ子さん(81)は「業者なら何万も取られるのに」と喜んだ。もらったお金の10%を会で積み立て、共同で使うものの購入などにあてる。

 拓さんは「いろんな人と出会えるし、スキルアップできて、お金も入る。頼む方にとっても気軽。改善しながらウィン・ウィン(互恵)の関係を続けていきたい」と話す。