2013年10月31日木曜日

地方自治体が組事務所を買収


山形市の市川昭男市長は30日、元暴力団事務所がある松山地区の住民要望を受けて、元組長らが所有する土地建物を県暴力追放運動推進センター(理事長=遠藤凉一弁護士)を通じて買収する、と住民に答えた。

 同地区では1989年に発砲事件が起きている。暴力団の影におびえてきたという住民代表は「英断に感謝する。大きな山を越した」と喜んだ。

 元組事務所は千歳山のふもと、松山2丁目の山際にある。敷地は562平方メートル。買収時期は未定だが、暴追センターに実勢価格で買い取ってもらい、暴力団への不当な資金源とならないよう注意するという。買収後は地元意向を踏まえ、建物を解体して公園駐車場などにして利用したい考えだ。

 この元組事務所を使用していた暴力団は壊滅しているが、上部組織で広域暴力団山口組弘道会の金田組の組長が土地建物に600万円の抵当権を設定している。この金田組が秋田県から進出する動きがあったため、住民たちは2011年5月、暴力団の再拠点化を防ごうと「松山地区暴力追放を促進する会」を結成。この日、会は住民の大多数840人の署名を添えて市による元組事務所の買い取りを求めた。

 一方、暴追センター理事長の遠藤弁護士らは元組長と昨年2月、金田組組長の抵当権抹消を求めて提訴。裁判では「事務所売却」を前提に和解の方向に進んでいるという。買収の決定について市川市長は「暴力団の関与を許さないという意味で大きな意義がある」と取材に答えた。

 暴力団追放で地方自治体が組事務所などを買収するのは、最近では福岡県久留米市などに例がある。