2013年12月2日月曜日

子ども図書館


高崎駅東口に建設される都市集客施設に、高崎市が「子ども図書館」を整備する。県内では前橋市に次いで2例目だ。ただ、機能だけなら、すでに駅西口側の市立中央図書館にある。市は集客効果を期待するが、駅反対側の図書館とどうすみ分けるのか、より明確なコンセプトが求められそうだ。

 「DVD視聴のブースは必要ない。中央図書館に立派なものがある」「値段の高い大型絵本は必要か」

 子ども図書館をめぐり、高崎市が20日開いた2回目の有識者会議で、委員10人が次々意見を述べた。10月30日の初会合でも「特性をしっかり持たせないと中途半端になる」と指摘され、2回目も「コンセプトをはっきりさせたほうがいい」と意見が出た。位置づけの不明確さが浮かんだ。

 先行の「前橋こども図書館」は2007年12月、前橋プラザ元気21内に開館した。市立図書館の親子読書室が手狭になったのが整備のきっかけで、子育て応援を前面に出した。蔵書数約12万2千、広さ約1563平方メートルと国内の子ども図書館で最大級。ベビーカーで移動しやすく通路を広くとり、父親もおむつ交換できるスペースがある。

 隣には児童が屋内遊びできるプレールームがあり、乳幼児を遊ばせながら育児相談ができる場もある。図書館利用者は年間約20万人、併設した施設の利用者と合わせると40万人を超え、「にぎわい創出の目標も達成している」と渡辺幸江館長は話す。

 一方の高崎市は6カ所の市立図書館がネットワークで結ばれ、一部の公民館などを含めると図書館機能がある施設が計13カ所。うち中央図書館に約460平方メートルの児童エリアがあり、約3万5千冊を所蔵する。各地の子ども図書館は1万~10万冊程度が多く、機能だけなら確保されている。

 中央図書館は総合保健センターと同じ建物の5、6階にあり、総額約36億円をかけて11年4月に開館したばかりだ。それだけに、小泉貴代子・中央図書館次長は「駅東口側にはまるっきり概念の違うものをつくる」と意気込む。赤ちゃん連れでも気兼ねなく利用でき、子どもたちが楽しみながら読書習慣を身に着ける場にしたいという。

 市によると、全国に子ども図書館は約70カ所。01年の「子どもの読書活動の推進に関するする法律」施行後に急増した。16年の着工をめざす市は3度目の有識者会議を年内に開き、提言を踏まえて年明けに素案をまとめる方針だ。