2011年11月7日月曜日

小出裕章さん、がれき処理について




国は汚染瓦礫を全国に拡散して焼却または埋め立てしようとしています。このように拡散させても人体への影響は大丈夫なのでしょうか。また拡散以外に処理方法はないのでしょうか、という質問です」

小出「はい。まず人体に大丈夫なんでしょうかっていうご質問でしたけれども。放射能に関する限り大丈夫という言葉を決して使ってはいけません。大丈夫とか安全とかいう言葉はけして使ってはいけない。どんなに微量な被曝でも危険はかならずあると、いうことであって。どこまでなら自分として我慢できるかというそれだけのことでしか、ありません。

そして今質問してくださったように、日本の国は放射能の瓦礫を全国にばらまいて、そこから出てくる焼却灰等を全国で埋め捨てにしてしまおうということをしている、のですね。それは全く正しくないやり方です。

元々その瓦礫がなんで問題になるかというと、放射能で汚れてるからというんですね。じゃあその放射能というのは何だったのかと言えば、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉の中にあったものなん……あるべきものだったんです。東京電力の所有物なんです。それを彼らが勝手にばらまいた、んです。でも、元々東京電力の所有物なわけですから、本来であれば東京電力にお返しするというそういう筋のものなんですね。ですから全て東京電力に返すのが私はいいと思いますし。全国にばらまいて埋め捨てにするなんてことは到底やってはいけないことなの、です。

ただし、ですけれども。私が願っていることは人々の被曝を少なくするということです。そして特に子供たちの被曝を少なくするという、ことです。今現在福島周辺に膨大な汚染の瓦礫があって、それをこのまま放置をしてしまえば、福島の子どもを含めて福島県の人たちが被曝をやはりしてしまうということになりますので、私はなんとかその事態は避けたいと思っています。ただし残念ながら福島だけで引き受けることができる量ではありません。瓦礫が。ですから、汚染の強いものは出来る限り福島県内、で、避難、いや処理すべきだと思うけれども。ある程度のものはやはり全国で引き受けてやるしかないだろうと私は思います。

ただし、今現在ある焼却施設でそれを燃やしてしまうと、空気中に放射能をばらまくことになりますので、もし瓦礫を全国の自治体で引き受けて燃やすというのであれば、その焼却施設に放射能を撒き散らさないようなフィルター、端的にいうとフィルターなんですけれども。排気施設を作らなければいけない。それを作った上で初めて引き受けるということをやるべきだと思います。

そして焼却灰が出て来るのですけれども。その焼却灰を埋めるなんてことはもちろんしてはいけなくて。

それはさっき聞いていただいたように、東京電力の所有物なわけですから、東京電力にお返しするのがいいと思います。どういう形で返すかというと、元々焼却施設の焼却灰はコンクリートの母材にした、んです。んで……これから福島第一原子力発電所は放射能を撒き散らすことを防ぐために巨大な石棺という、えーコンクリート構造物を作って閉じ込め作業をしなければいけませんし。地下には融け落ちた炉心がめり込んでいってるかもしれないので、地下に膨大なバリアーをはらなければいけない。そのためには膨大なコンクリートが要りますので、そのための材料に焼却灰を使う。つまり福島第一原子力発電所に返すというやり方がいいだろうと私は思います」