2012年12月10日月曜日

「原発を問う民衆法廷北海道」


原発の抱える問題点を裁判の形式で明らかにしようとする「原発を問う民衆法廷北海道」が8日、札幌市内で開かれた。市民団体などの主催で法的拘束力はないが、5時間以上にわたる議論のあと、「判事団」は「原発は人道に対する罪であり、憲法違反」とし、北海道電力泊原発の廃炉と電源開発大間原発の建設中止などを命じる「決定」を言い渡した。

 法廷は今年2月から、東京、大阪、福島などで開かれ、今回で6回目。大学教授4人が「判事」、弁護士6人が「原告」及び「被告」側の代理人として出廷し、約200人が傍聴した。 

 呼びかけ人代表の山内亮史・旭川大学長が、民衆法廷は1967年、ベトナム戦争に反対した「ラッセル=サルトル法廷」に由来することを説明。弁護士が、国などを「被告」とした「訴状」と、訴状への「答弁書」について陳述した。 

 「原告」の意見陳述では、福島県から札幌市に避難している宍戸隆子さん(40)が、放射能の影響への不安や、自主避難者に向けられる視線への複雑な思いにふれ、「一度事故を起こせば失うものが多すぎる。同じ轍(てつ)を踏んでほしくない」と語った。泊原発の地元や大間原発の対岸の函館市、幌延にある深地層研究センターの地元で反対運動をしている人たちも意見を述べた。

 さらに、高橋哲哉・東京大教授が、原発は「ある人々の犠牲によって特定の者の利益が成り立つシステム」であり、許されないと証言。被告側の代理人は「安全性が確認された原発の稼働は問題がない」などと主張した。
 
判事団は、原発は憲法13条に定める人格権を侵害し、地方自治を破壊し民主主義を形骸化させるとして、各施設の廃止を命じる「決定」を出した。