2013年11月7日木曜日

川口市職員による無断録音

川口市の職員が市民との話し合いの内容を許可なく録音し、その後、録音データの開示を求めた請求に対しても「当初より存在しない」と事実と異なる理由を挙げ、公文書の不開示決定を出していたことが、朝日新聞の取材でわかった。

 会話を録音されていた開示請求者の男性(46)が決定に異議を申し立てたところ、市は一転して無断録音を認めた。取材に対し、担当者は「録音データが公文書であるとの認識がなかった」などと弁解している。

男性によると、録音は昨年10月、市道拡張工事の振動による家屋補償をめぐり、男性と市職員、工事業者が男性の自宅で約2時間半、話し合った際におこなわれた。職員はその場で会話の全てをメモしていなかったが、その後、男性が開示請求で入手した市作成の会話記録(A4判41ページ)には、話し口調の会話や身ぶり手ぶりなどが詳しく記されていたという。

 市職員による無断録音を疑った男性が今年8月、市に対して「録音(録画)データまたは、録音したことを証する公文書」を請求したところ、「当初より存在しないため」という理由で不開示とされた。

 この決定に対して、男性が市の情報公開・個人情報保護審査会に異議を申し立てたところ、市は説明を一転。「正確な対応記録を作成するため録音を行った」「録音データは文書を記録作成後、消去しており現在は存在しない」と、同審議会に回答した。

 男性は「市は録音した事実に加え、過去にはあった録音データの存在も隠していたことになる」と市の対応を批判している。

 取材に対し、市の担当者は「無断録音は礼を失していた」と問題があったことを認めた。また、「当初より存在しない」が「現在存在しない」と変化したことは、「表現が誤解を招いてしまった。録音を隠すつもりはなかった」と説明している。