2013年4月10日水曜日

耕作放棄地を仲介


耕作放棄地が多い町田市北部3カ所の計約1・5ヘクタールを3事業者が今月から借り受け、農業生産を始めた。市が2011年に始めた農地仲介事業を活用した。自治体のあっせんで農業生産法人やNPO法人が農地を借りるのは都内で初めて。

 市の仲介で農業に参入したのは、農業生産法人「和郷」(千葉県香取市)と、障害者雇用の確保を目的としたキユーピーの特例子会社「キユーピーあい」(町田市)、農業の担い手育成などに取り組むNPO法人「たがやす」(同市)。

 「和郷」は、同市小野路町の0・57ヘクタールを借りて主にサツマイモを年間約14トン生産。スイーツに加工し、東京駅の売店で売る計画だ。「キユーピーあい」は上小山田町の0・5ヘクタールで数人の障害者を雇い、野菜などを作ってキユーピー本社の社員食堂に提供する。「たがやす」は小野路町の0・4ヘクタールで果樹やイモなどを育て、子どもたちの農業体験の場にする。いずれも0・1ヘクタール当たり年1万円の借地料を地権者に支払う。

 多摩ニュータウンに隣接する市の北部は一時、都市再生機構(UR)が取得したが、採算面などから開発されないまま大部分を市が買い取った。現在は山林や遊休農地が広がっている。

 土地が荒れるのを防ごうと、市は11年5月から、地権者と借り手を結びつけるあっせん事業を始めた。これまでに地権者から委任を受けた農地や市有地計13・5ヘクタールのうち、今回の3事業者を含めて計10・6ヘクタールを借り手に仲介してきた。

 市の担当者は「家族経営の農家だけでなく、競争力が強かったり、社会貢献を目的としたりといった多様な担い手が参加したのが大きい」と話す。今後も法人の参入に向けて働きかけていくという。