2013年4月2日火曜日

武雄市図書館

レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、指定管理者として運営にあたる武雄市図書館がリニューアルオープンした1日、年度初めの月曜日にもかかわらず、閉館の午後9時までに5517人が訪れ、雰囲気を楽しんだ。一方、公共図書館の枠を越えたスタイルに戸惑う声も聞かれた。

 樋渡啓祐市長らがテープカットした後、近くの御船が丘小学校の児童たち約30人がカウントダウンをして午前9時に開館した。

 館内には自動貸し出し機を2カ所に分け、計6台配置した。レンタルや本の購入の支払いにも使える。1日1回だけTポイントが3ポイント(3円)付くため、利用者が多かったが、タッチパネル式で最初はわかりづらいため、係員が操作方法を丁寧に説明していた。

 本の検索機も計30台配置してあり、目当ての本を検索すると、図書が置かれた位置などのコピーが出てくる。開架図書が約20万冊あり、探しあぐねて検索機を使う人の姿も目立った。

 昼食時は、スターバックス席や外のテラスでコーヒーやサンドイッチなどの軽食をとったり、本をめくったりする人でにぎわった。

 武雄市武雄町の専門学校生、坂本好史(たかふみ)さん(23)は「どのへんが販売で、どこから図書スペースか、少しわかりづらいけど、いい図書館になったと思う」。

 近くの鹿島市の図書館で司書をしている女性は、前例のない図書館を勉強したいと訪れたが、「スタバがあったりして若者にはいいかもしれないけど、公共じゃない。特に2階はお年寄りは通りづらい」。

 武雄市は、CCCへの管理委託のメリットの一つに経費削減を挙げる。

 5年の指定管理期間で、CCCへの委託料は年間1億1千万円。市教委によると、これまでの運営費は歴史資料館を含めて約1億4600万円。資料館の経費2800万円を差し引くと、年間約800万円の削減につながり、CCCから賃料が年間600万円入るため、運営経費は約1割削減できるという。

 ただ、市は改修費に4億5千万円をかけ、CCCも約3億円を負担した。民間企業だけに赤字経営になったときの撤退のリスクが伴う。実際、これまでに指定管理者として図書館運営に参入している民間企業は「企業価値の向上につながるので取り組んでいるが、利益は少ない」と話す。

 CCCは本などの売り上げやレンタル料で人件費を吸収するとしているが、物販をしている場所が図書館内にあることに著作権法違反との指摘も出ている。

 著作権法に詳しい福井健策弁護士は「少額とは言え営利性が生まれれば、違法の可能性はある。実際の運営次第だろう」と話す。

 3月の内覧会に出席した、書店「丸善」会長で、全国約180館で指定管理者となっている図書館流通センターの石井昭会長も「図書館は地域の大事な教育施設という前提は動かないが、物販で利用者のサービス向上にはつながる面はある。大事なのはやりようだ」と話した。