2012年6月28日木曜日

オスプレイ配備反対決議と野田首相挨拶


米軍基地普天間飛行場へのMV-22オスプレイの配備 に断固反対する抗議決議

去る6月17日に本市で開催された「普天間飛行場へのオスプレイ配備等に反 対し、固定化を許さず早期閉鎖・返還を求める宜野湾市民大会」は、約 5,200 人が集結し、日米両政府に対し、オスプレイの配備中止を強く求める決議が採択 された。市民並びに県民の確固たる強い決意が表明され、事態の重大さを再確認 し、抗議の渦が全市民を巻き込んだ怒りに満ちた大会となった。

MV-22オスプレイは、開発段階からその安全性等の問題が指摘されている 機種であり、本年4月 11 日にモロッコで訓練中に墜落事故を起こし、さらに6月 14 日にはフロリダ州で同機種の墜落事故が起きている。このように、短期間で2 度も墜落事故を起こすオスプレイは、欠陥機であることは明白であり、たび重な る墜落事故に対して、「オスプレイの安全性や機体に問題はない」、「オスプレ イは良好な安全飛行記録を持つ、きわめて高性能な飛行機だ」との米政府の見解 は、市民、県民を愚弄するものであり、不安と怒りは頂点に達している。

このような危険極まりない機種の配備による基地機能の強化は、米軍基地普天 間飛行場の固定化につながるものであり、沖縄の基地被害の現状を顧みない日米 両政府の不誠実な対応に強い憤りを覚えるとともに、県外の米軍基地での先行駐 機を、受け入れ態勢に問題があるとして断念し、米軍基地普天間飛行場へ前倒し 配備が検討された経緯に対しても、誠に遺憾であり、憤激に堪えない。

本来、米軍基地普天間飛行場を移設するという日米両政府の合意は、同基地の 危険性の除去が原点であった。混迷を深める同飛行場の移設問題により、16 年も その危険性が放置され続けてきた宜野湾市民にとって、さらなる基地機能の強化 及び固定化につながるMV-22オスプレイの配備は、いかなる方策を講じよう とも、断じて容認できるものではない。

よって、本市議会は、米軍基地普天間飛行場の極めて危険な実情にかんがみ、 市民・県民の生命及び財産並びに安全・安心な生活を守る立場から、日米両政府 に対し、このたびの配備計画を断固阻止する意を強く訴え、下記事項について要 求する。




1.基地機能強化及び固定化につながるMV-22オスプレイの配備計 画を即時撤回すること。

2.世界一危険な米軍基地普天間飛行場を即時閉鎖し、運用を停止する こと。

3.米軍基地普天間飛行場の早期返還を実現すること。

以上、ここに決議する。

平成 24 年6月 28 日

沖縄県宜野湾市議会

(宛て先)米海兵隊太平洋基地司令官、在沖米国総領事




沖縄 全戦没者追悼式あいさつ

平成二十四年 沖縄 全戦没者追悼式が挙行されるに当たり、戦没者の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。

 人間が犯してきた罪深い戦争の中でも、ひときわ苛烈で凄惨な戦闘だったと言われる沖縄戦から、六十七年目となる初夏を迎えました。

 鎮魂の思いを語るに当たり、あの悲惨な日々を心に思い描くことから始めなければなりません。紺碧の海と空を黒々と埋め尽くした軍艦や爆撃機から、昼夜を問わず轟き続ける閃光と爆音。幾万の住民が戦火の只中に投げ出され、多くの尊い命が奪われていきました。

 戦争という人間自らが引き起こす災禍において、いかに人間の尊厳が踏みにじられてしまうのか。人間が人間らしさを失ってしまうのか。そうしたことを思い知らされる、筆舌に尽くしがたい出来事の数々が起こりました。私たち日本人は、美しい沖縄の大地に刻まれた悲惨な歴史を決して忘れてはなりません。

 終戦から六十七年、沖縄の本土復帰から四十年を経ました。この間、沖縄の皆様は、たゆみない努力を重ね、数多の困難を乗り越えて、力強い発展を実現してこられました。

 沖縄の苦難の歴史に思いを馳せるとき、私は、大田実中将の最期の言葉を思い起こさずにはいられません。
 「沖縄県民斯く戦えり。県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを。」と結ばれた電信文に込められた、祈りにも似た悲痛な願いです。
 そして、私たちは、常に問い返さなければなりません。
 沖縄の皆様の抱く思いを、全ての日本人で分かち合おうとする格別の努力を尽くしてきているだろうか、と。

 戦争の惨禍を二度と繰り返さないために、国の安全保障に万全を期すことは、国政を預かる者の務めです。その責務は、わずかなりとも疎かにすることはできません。

 他方、現在も沖縄に米軍基地が集中し、県民の皆様に長年にわたり多大な御負担をおかけしている事実は、慙愧に堪えません。基地負担の早期軽減に全力を尽くし、具体的に目に見える形で進展させることを改めてお誓いします。

 今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の犠牲の上に築かれています。祖国の未来を次の世代に託さざるを得なかった戦没者の悲痛な思いを受け継ぎ、我が国は、不戦の誓いを堅持いたします。そして、国際社会の一員として、国際平和の実現を不断に追求してまいります。

 この地に眠る御霊の御冥福と、御遺族の方々の御多幸を心からお祈り申し上げ、私のあいさつといたします。



平成二十四年六月二十三日
内閣総理大臣 野田 佳彦