2012年5月30日水曜日

2011年度個別労働紛争解決制度の事例より


事例1契約更新後に退職勧奨を受けたことに係る助言・指導

事案の概要
 申出人は、○○会社に半年間の有期契約社員として勤務していたが、第 1 回目の契約 更新をした直後に、業務中の軽微なミスを理由として、自宅で待機するよう申し渡され た。 さらに、上司から「契約更新したけど、ミスも多いし、やっぱり辞めた方がいいんじゃな いか」と退職願を提出するよう求められたが、申出人は自ら退職する意思はないため、 雇用の継続を求めたいとして助言・指導を申し出たもの。

助言・指導の 内容・結果
労働局長の助言・指導により、事業主に対し、判例、労働契約法について説明し、労使 双方での話し合いによる解決を促した。 事業主と申出人との話し合いの結果、雇用の継続はできないものの、会社都合による 退職とすること、約 1 ヶ月分の賃金補償を行うこと、申出人が希望する条件の仕事を紹介 することにより、お互いに合意し、解決が図られたもの。

事例2: いじめ・嫌がらせに係る助言・指導

事案の概要 
申出人は、同僚の労働者より、不必要な雑用をさせられたり、許可するまでトイレに行 かせない等の嫌がらせを受けた。また、仕事がないからという理由で勤務シフトを組ま れないこともあった。 このような、いじめ・嫌がらせを止めさせて欲しいこと、適切な勤務シフトを組んで欲し いことを求めて、助言指導を申し出たもの。

助言・指導の 内容・結果
労働局長による助言・指導により、当事者による話し合いによる解決を促したところ、迅 速に話し合いがもたれた。 その結果、事業主側は申出人の言う、いじめ・嫌がらせがあったことを認め、謝罪する とともに、今後は、申出人の意向を考慮した勤務シフトを組むようにすることになった。

【あっせんの例】事例1:整理解雇に係るあっせん

事案の概要
申請人は、5年前から○○会社△△営業所の正社員として勤務していたが、業績不振 を理由に△△営業所が閉鎖となり、解雇を通告された。 業績不振というが、近隣の地域の他の営業所に配置転換となった同僚が何人もいて、 申請人は、自分が整理解雇される理由がわからず、また解雇に関する説明を求めても 「あなたに働いてもらう場所がないから」と言われるだけであった。 申請人としては、○○会社が解雇を回避する努力を十分に行ったとは思えず、経済的 損失・精神的苦痛に対して補償金として、半年分の給料を求めたいとしてあっせん申請し たもの。

あっせんの ポイント・結果
あっせん委員が双方の主張を聴き、当事者間での調整を図ったところ、解決金として2 5万円を支払うことで合意し、解決した。

事例2: いじめ・嫌がらせに係るあっせん

事案の概要
 社内の同僚などから嫌がらせを受け、抑うつ状態になった休業中の労働者に対して、 雇用期間満了のため、退職手続きを行ったところ、休業中の労働者より、「自分が抑うつ 状態となったのは、会社の配慮がたりなかったからだ。生活費・慰謝料として、給料 3 ヶ月 分(約 100 万円)を請求する。」と申し立てられたことを受け、会社側があっせん申請した もの。

あっせんの ポイント・結果
会社は労働者の訴えに基づき調査を実施したところ、同僚の嫌がらせがあったことを確 認し、あっせん委員の調整により、解決金として 50 万円を支払うことにより、解決した。