2012年1月5日木曜日

アントニオ・ネグリで今年ははじまります。

朝日新聞、昨日掲載です。

政治も経済もおかしい。何がどうなっているのか。全体像を知りたい。世界的な「知」に聞きたい。思いついたのが、アントニオ・ネグリだった。イタリアの政治哲学者で、著書「〈帝国〉(エンパイア)」「マルチチュード」で知られ、そして……。いや、前置きはいい。イタリア・ベネチアの自宅を訪れた。

欧州の危機が労働者の権利が縮小。
ストライキ権が制限され、福利厚生が削減され、労働時間が長くなり、男女の雇用格差が広がる。非正規雇用など不安定な労働形態はさらに横行するでしょう。50年、いや100年、逆行してしまうかもしれません。

 
 ――この流れを止めるには。

 後戻りはできません。イタリアでは「フィアット社が栄えれば国が栄える」と言われましたが、そのフィアットも生産の軸足を海外に移してしまった。

 もし新たな流れがあるとしたら、それはフィアットを戻すことではありません。民主主義の領域においてのみ、ありうるでしょう。様々な領域のコントロール(管理、統制)に多数の人々が直接参加する「新しい民主主義」です。