2012年7月8日日曜日

鳥取市「9条の会」


鳥取市「9条の会」の結成6周年を祝う記念講演会が7日、鳥取市の市福祉文化会館であり、「憲法と原発訴訟」をテーマにした鳥取大学の中村英樹・准教授(憲法学)の話に約30人が耳を傾けた。

 鳥取市「9条の会」は2006年7月に結成。戦争放棄や戦力不保持をうたった憲法9条を守ろうと、学習会や街頭活動など草の根運動を続けている。

 この日、中村准教授は「原発訴訟の争いの中では、憲法の出る幕はほとんどない」と前置きした上で、国や電力会社を相手にした原発訴訟の歴史をひもとき、ほぼすべての訴訟で住民側が敗訴していることを紹介した。

 中村准教授はその理由に「立証責任」を住民側が負わされていることを挙げる。「原発訴訟はどんな危険が起きうるのか、未来を予測するのが特徴。高度に専門的で技術的な問題なので、裁判所は多数の専門家が関与する国や電力会社の判断を優先してしまう」と指摘。その国や電力会社の主張が不合理であることを住民側が立証しなければならず、情報量で圧倒的に劣る住民側には荷が重いと話した。

 一方、東京電力福島第一原発の事故が、今後の訴訟に与える影響についても言及した。「事故をきっかけに裁判所が頼りにしていた『専門家』はみんな、原発を推進したがっている人だということがはっきりした。裁判所は今後、これまでの枠組みの中で判断を下すことはできないだろう」と話した。