2012年7月10日火曜日

鹿児島県知事選挙

「圧勝とは思わないが想定通りの結果。(原発をめぐる賛否の)今までの経緯を考えれば、鹿児島では自然に出てくる数字だ」。当選した伊藤氏は9日朝、新顔の向原氏が得た20万票をこう分析した。

 各政党が「相乗り」で支援し、経済団体などの推薦も得た組織選挙をした伊藤氏。一方の向原氏を支えたのは反原発運動の担い手ら。立候補表明も遅れたが投票数の3分の1を超える票を得た。伊藤氏と新顔の元県議の一騎打ちだった前回選挙で新顔の得票は、約15万票。向原氏は「これだけの人が『原発はいらない』と意思表示したのはすごいこと」と振り返った。

 開票結果をみると、薩摩川内市では伊藤氏の約2万7千票に対し、向原氏の得票は約1万4千票だった。ただ、原発から最短5.5キロにある、いちき串木野市では伊藤氏の約6900票に向原氏が約5300票と迫った。市の一部が30キロ圏内に入る鹿児島市でも伊藤氏の約9万8千票に、向原氏が約7万3千票を獲得。得票率は4割を超えた。

 鹿児島大法文学部の平井一臣教授(政治学)は、こうした結果を「原発に隣接する自治体で向原氏が善戦したことは、従来よりも広範囲の地域の住民が原発を自らの問題と考え始めている結果では」。
 投票率は43.85%と前回の38.99%を約5ポイント上回った。平井教授は「かなりの人が原発問題に目を向けたという意味で、新しい動きだった」とみている。