2012年10月12日金曜日

松山市、運動場を芝生化


松山市は公立学校や幼稚園などの運動場の芝生化を進めている。繁殖力の強い品種を使い、低コストで整備できる「鳥取方式」を採用。手入れも簡単とされるが、子どもたちが長く芝生の上で運動するには地域の協力が欠かせないようだ。

 松山市吉藤4丁目の市立潮見小で3日夜にあった芝生化の完成式典。運動場の約3分の1(約850平方メートル)に広がる芝生の上で、児童ら約60人がグラウンドゴルフに汗を流した。

 この芝生化に用いられたのが鳥取方式。中野淳一・元鳥取大准教授が発案し、数年前から全国に広まった。繁殖力の強い品種「ティフトン」を使い、ポットで育てた苗を50センチ間隔で植えると約2~3カ月で一面が緑になる。業者でなくても植えられ、手入れは水やりと肥料まき、週1回程度の芝刈りですむ。

 野志克仁市長は昨年1月、公立学校運動場の芝生化に取り組む方針を表明した。それまでに一部の小学校で芝生を整備したが、委託した業者がロール状になった芝生を敷いていた。市は、鳥取方式なら1ポット100円前後ですみ、児童らでも苗を植えられる手軽さに注目。昨年度から鳥取方式を採用して3カ所で実施し、今年度は潮見小を含む5カ所で苗を植えた。今後も順次、芝生化を進める方針だ。

■お手入れ 地域一役

 簡単といえど手間がかかる手入れは、教員だけでは負担が大きい。潮見小は、地元住民でつくる総合型地域スポーツクラブ「しおみクラブ」に管理を依頼した。クラブのメンバーがボランティアで手入れに当たっている。

 現在の校名で約65年の歴史がある同小は、もともと地域とのつながりが深く、協力的だった。6月に芝生の苗を植えた際には、保護者や住民ら約30人が駆けつけた。芝生は地域の催しやクラブ活動にも使われる。

 クラブの能田雅雄副理事長は「芝生化された運動場は、地域住民と児童がつながる拠点としても重要。みんなで大切に育てていきたい」。塩見靖彦教頭は「芝生化には地域の人の協力が不可欠だ」と指摘する。