2012年2月29日水曜日

橋本勉・衆院議員(比例東海)消費増税に、「反対」


   ―消費増税に反対しています。
 景気が今よりも悪化するから。国民はさらにお金を使わなくなる。(物の値段が下がり続ける)デフレが15年も続く経済状況下で増税すれば、倒産や廃業に追い込まれる企業も出る。そうなれば、目的である「税収増」は達成できず、決して得策ではない。

 ―なぜですか。
 デフレ下では、企業は消費税の引き上げ分を価格に転嫁できず、負担することになる。例えば945円(5%の税込み)の商品を、消費税が10%になったからといって、990円にはできない。値上げすれば、さらに買ってもらえなくなるからだ。円高で体力が弱った企業に、この負担は耐えきれないだろう。

 ―1997年にも消費税を引き上げました。
 3%から5%に上げたことで、一時的には税収が増えた。だが、その後はデフレが更に進んだ。98年以降は自殺者が3万人を超え、貧困率も上がったと思う。あの時の増税の影響について、政府は振り返って考えるべきだ。

 増税すれば、非正規労働者が増加する傾向に拍車がかかる。派遣社員らの人件費は、仕入れにかかる消費税の税額控除の対象。つまり納める消費税が少なくなる。経営者はこの仕組みに目をつけ、非正規雇用にシフトし続けてきた。労働人口に占める非正規雇用者は消費税導入当時(89年)は2割以下だったが、今では4割近くに増えた。

 ―その結果、どうなるのですか。
 正規雇用に比べて収入が低い非正規社員が増えれば、消費に使えるお金が減って消費が落ち込む。当然、消費税収入は減る。そればかりか、法人税と所得税も減らす結果になる。

 ―では、どうすれば。
 通貨の発行量を増やす。金融緩和は実際に効果が出ている。日本銀行は2月14日、年1%の物価上昇を目指す「インフレターゲット(目標)」を導入。資金供給枠を10兆円に増やすと、円安や株高が進むなど功を奏した。追加で更に大胆な金融緩和を望む。1ドル110円まで回復させるために年3%のインフレを誘導し、60兆円まで通貨を増発するべきだ。なだらかなインフレを引き起こし、デフレ脱却をめざす方が良い。

 財政再建の手段にはほかにも、国有資産売却や国債発行がある。だが、国有資産は地価が下がっている現状では有効ではない。国債の発行は減らさないと日本の信用が低下する。

 ―国会議員として、どう取り組みますか。
 民主党の中にも消費増税に反対する議員がおり、議員連盟も作っている。日銀にも提言を続けていくつもりだ。米国や英国、中国、韓国ではすでに通貨発行量を大幅に増やした。日銀はインフレを押さえ込む力があり、ハイパーインフレが起きる心配はない。ブレーキではなく、アクセルを踏むべき時だと考えている。
     ◇

 はしもと・べん 58歳。税理士で衆院議員。東京国税局職員や日興証券社員、メリルリンチ日本証券ファイナンシャルコンサルタントなどを経て、2009年の衆院選に初挑戦。岐阜2区で自民党候補に敗れたが、比例区で復活当選した。揖斐川町出身。