2011年10月13日木曜日

岡山市不適正経理続報



岡山市の不適正経理問題に関して「会計処理適正化に向けた調査結果並びに再発防止策について」が10月6日公表されました。所在の確認ができなかった電気製品等の追加調査結果に係わる部分を紹介します。

①追加調査に至る経緯
平成18年度分調査において、業者の取引明細等には液晶テレビやDVDレコーダーなどの電気製品等の納入の記載が認められたが、市の支出命令書には該当する支出項目はなく、関係する出先機関も調査したがこれらを使用している事実もなかった。
一方、市の支出命令書では、5万円未満の事務用品を多数回購入したことになっていたが、業者の取引明細等では、単に「入金」とのみ記載されている欄が見受けられ、納品事実のない支払いであると判断した。しかも、現実に納品したと思われる電気製品等の請求額に比べ、支払額は不足していたことから、過去に預け金があるものとして遡って調査を行った。

②調査の方法及び内容
・調査の方法は、業者の保管する全ての取引明細等と市の支出書類の突き合わせを行うとともに、業者の取引明細等に記載された電気製品等については、仕入先の台帳、納品書など納品の事実を推認できる資料の提出を求めた。
・所在の確認ができなかった電気製品等の納品や使用の事実について、過去に在籍した職員や業者から聞き取り調査を行った。
・業者に保管されている平成14年度からの取引明細等との突合及び業者からの聞き取り調査により、平成15年1月から平成18年度まで預け金や差替えが続いていたことが判明した。
③調査の結果
調査額5,802,736円のうち預け金と差替えによる不適正な経理処理が、平成14年度から平成18年度までにおいて3,373,224円、112件認められた。
これらの内、ノートパソコン、DVDレコーダー、液晶テレビなどの電気製品等3,324,715円については、納品の事実はあったと判断したが、公的に使用された実態はなく、所在も不明である。
なお、その他消耗品の合計48,509円については、ファイル等の事務用品であり、継続的に購入、使用されている事務用品であるという実態が確認されていることから、公的に使用されたものと判断した。
④今後の対応
過去に在籍した職員からの聞き取り調査においては、これらの電気製品等の納入について関与を認めている者はいないが、私的流用の可能性も含め、弁護士や関係機関と協議しながら、引き続き事実関係の解明に向けて取り組んでいく。


私的流用の可能性があり所在の確認ができなかった電気製品等
納品年度/品目名/年度合計(円)
平成14年度/ノートバソコン/2731000
平成15年度/DVDレコーダー、ラジカセ、カセットテープ、音楽制作システム/296,151
平成16年度/ノートパソコン、S、カード、デジタルカメラ、液晶テレビ/542,955
平成17年度/液晶テレビ、ポリ袋、ノートパソコン、スチール書庫/1,135,101
平成18年度/MDプレーヤー、液晶テレビ、DVDレコーダー、メモリーカード/1,077,508
合計3,3241715


※長崎県の対応はすばらしい。係わった職員に対して懲戒処分、返還金の一部負担を求めています。朝日新聞9月10日の記事です。
物品購入費や修繕の経費で2001~06年度、約8900万円の不正経理が見つかった問題で、県は9日、職員145人を処分した。また、定年退職者も含め、関わったすべての職員に国への返還金の一部を負担するよう求めた。
 処分の内訳は、停職3人、減給3人、戒告2人、文書訓告67人、厳重注意70人。関与の程度が軽微だとして処分を受けていない職員を合わせれば、関係者は県教委を含む46部署の176人に及んだ。
 不正に処理された総額約8900万円のうち、農林水産省と国土交通省の国庫補助金は利息を加えた約5千万円を国に返還する。県の一般会計から約1830万円を支出し、残る約3170万円は関わった職員に自己負担させる。
 01~06年度の不正経理は、会計検査院の検査とそれを受けた県の調査で今年3月までに発覚した。私的な流用はなかったとしている。
 業者に架空取引をさせ代金を支払ったと見せかけて保有させる「預け」などの手法で、県が自由に使える金を不正に増やしていた。県では07年2月にも1999~06年度の不正経理計4億3600万円が発覚し、職員561人が処分されている。