2012年11月29日木曜日

憲法改正の発議条件緩和で、歯止めがなくなるよ


 憲法改正を国会で発議するには、衆参両院それぞれの「総議員の3分の2」の賛成が必要だ。「自民と維新で3分の2を超えれば、改憲に一歩進んでしまう」。旧総評系の労組などが作る「フォーラム平和・人権・環境」の藤本泰成・事務局長(57)は懸念する。

 米軍の新型輸送機オスプレイの配備に反発を強める沖縄県。全41市町村の首長が上京して首相と面会する計画は衆院解散で流れた。「米国に押しつけられた『占領憲法』の改正を訴える政治家たちが、米軍に占領されて基地を押しつけられた私たちの暮らしを忘れている」。9月の県民大会で事務局長を務めた玉城義和さん(66)はいらだつ。 「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」の高田健・事務局次長(67)は、民主が政争で分裂し、護憲や脱原発を訴える党内のリベラル勢力もバラバラに分断されたと感じている。「脱原発と同様に、憲法も大きな論点であるはずなのに、政治家からは護憲の声が聞こえなくなってしまった」

 憲法学者で「九条の会」呼びかけ人の奥平康弘・東京大名誉教授(83)は、改憲勢力が憲法改正の発議条件を「2分の1」に緩めようとしている点に危うさを感じる。「手続き的な変更だから有権者も受け入れやすい。ただ、これを緩めると歯止めがなくなってしまう」